陰陽五行の話



気と心理(3)

柿木教授が千数百名の認知症の疑いがある老人を対象に調査をおこなった。

柿木:認知症になりにくい3つのおおきな柱がありまして、1つは教育暦でね、長く勉強している人ほどなりにくい。昔は尋常小学校卒の方が多かったでしょ。それより大学卒の人の方がボケていないのです。

娥影:ということは、いつも頭を使っているということですね。

柿木:そうです。頭を使うのはなにも勉強だけではありませんが。 2つ目に、一人で生活している人。3世代で生活していて身の回りをいろいろ世話をしてくれる家族がいると、ボケやすいのです。独居老人は基本的な生活をするだけでも、いろいろと頭を使って段取りをしなければいけないし、手先も体も動かしていますからね。元気なのですよ。

娥影:自分一人というのはそれこそ「気」をはっていますからね。それに、3世代家族でも2世代でも老人の仕事分担をはっきりして頼ればいいですよね。最近のお母さん方は冷凍食品をチンしてあまりお料理に時間をかけないようですから、献立と料理はおばあちゃんに任せるとか。

柿木: そうなのです。3つめの要因がそれなのです。責任をもって仕事をしている人。孫の世話や畑仕事などしている人は、ボケられません。

娥影:よく、ぼーっと何もしないでいたいって私たちも思いますけど、それが何であっても気になる対象がないといけないのですね。

柿木:心理学では、学習とは「習慣」と「動機づけ」の相互作用なのです。 ですから正式にはボケることを廃用性認知症といいますが、この廃の字でわかるように使わないという意味で、頭を使わないと用がなくなるということなのです。怖いのは元気でなんでもしてきた一人暮らしの老人がつまずいたりして、入院するとですね、病室にいる間からボケるのです。これは早い。

娥影:気、気、気、どんな環境のなかでも気を嬉々ともたなくてはいけませんね。